2025.08.14
京扇子とは
京扇子(きょうせんす)は、京都を中心に作られている扇子の名称です。竹と紙あるいは絹を主な材料としてのみ用い、竹は京都丹波地域の真竹がよいとされ、金銀箔(きんぎんはく)や蒔絵(まきえ)などの絵付けを施した京扇子は、高級美術品として古くから珍重されてきました。
京扇子の特徴は、実用的なものから婚礼などの儀式に使われるものまで、豊富な種類があることです。何枚もの薄い桧板を重ねた桧扇(ひおうぎ)をはじめ、5本~6本の細い板に和紙を貼った蝙蝠扇(かはほりおうぎ)、能扇や舞扇、茶席扇や祝儀扇などがあります。素材や製法によって貼扇(はりおうぎ)と板扇(いたおうぎ)の2種類があります。貼扇には紙扇(かみせん)と絹扇(きぬせん)があり、板扇と言われるのは白檀などの香木を薄くした木片を重ねて作った扇です。すべてに共通して、多くの職人たちの分業によって作られることで、制作工程の数は実に八十七と言われています。熟練した職人たちの手仕事で生み出される京扇子は美しさだけでなく、使う人の手によくなじみ、扇骨(せんこつ)の数が多い京扇子であおいだときの風はしなやかです。
